僕のトレードルールでもっとも重要とされるのが損切りです。
【損切りありきで組み立てる】
そう言ってもいいでしょう。まずエントリーする時点で、損切りをいくら取らなければいけないのか?ここから考え戦略を組み立て、場合によっては、そのエントリーを見送ることもあります。
まず損切りは一般的には【2%ルール】などと言われ、資金の2%までに損切りをおくとされています。
例えば10万円の資金からはじめたなら、損切りは2000円となります。20万円の資金なら損切りは4000円。これを守っていれば、よほどのことがない限り退場とはならないでしょう。
ただ僕の感覚で言えば2%はちょっと少なすぎる。だからと言って5%なら、ちょっと大き過ぎる。この間を取って僕は【3%】でいつも損切りをおいています。なのでまだ損切りのルールを持っていない方は2%、もしくは3%で損切りのルールを決めるといいかと思います。ここでは3%で話を進めていきます。
まずもう一度言いますが、【損切りありきで組み立てる】ということです。
10万円の資金で1万通貨はアリか?なしか?
例えば10万円の資金からトレードをはじめたとしましょう。

上記のチャートのようにローソク足がボリンジャーバンドのミドルラインに掛ったのでエントリーをしようと思った時、損切りはどこにおけばいいのか?
前回高値が141.200円なのでこれのちょっと上141.300円がベスト。これを抜けるともうかなり上側に行ってしまうと予想されます。すると損切りは約300pipsになる。
(※分かりやすいように少し大げさな場面にしました)
この損切り300pipsを前提にエントリーするということです。1万通貨1ロッド300pipsだと30,000円の損切りになり10万円の資金だと33%にもあたる。これではとてもじゃないけど、資金がもちません…
では考えられる選択肢は1000通貨です。1000通貨だと300pipsの損切りでも3000円。すると10万円の資金でも3%ルールに当てはまる。このように損切りありきで一回のトレードを組み立てていくのです。
時と場合によりますが、損切りは基本的に抵抗帯の少し上側(下側)におくのが基本です。もしくは前回高値や前日(前月・前週)高値におきます。
すると日足では30~50pipsほど。
週足だと50~80pipsほど。
月足だと100~200pipsほどになるのが一般的です。
これを大前提に考えていきますので、自動的に資金が10万円や20万円しかない人は1万通貨取引は無理だということになります。
十分に損切りが取れて、なおかつ3%以内に収める。そう考えると10万円20万円の資金しかない人は無理なく最初は1000通貨から行いましょう。資金が50万円~100万円を超えたあたりから、1万通貨取引を検討するといいかと思います。
レバレッジはどれぐらいが望ましいか?
もう一度言いますがトレードは損切りありきで組み立てる。これがもっとも重要で僕のトレードルールの中ではこれが中心となります。
では損切り3%ルールで資金管理を行うとどうなるか?まず分かりやすく100万円の資金で1万通貨取引をしていたとしましょう。
損切りはチャート分析から100pipsとする。すると3%ルールから3万円までは損切りが出来るので、ここでは3ロッドエントリー出来ることになりますよね。
100万円の資金だと例えばドル円なら20ロッドまで買えるが、これだと20ロッドで損切り3万円だと15pipsしか取れない。15pipsだとちょっとした動きでスグに損切りにあう値幅なのでこれはNGだとすぐに分かる。
このように100万円で20ロッド買うということは、ほぼフルレバレッジになるので、これだと損切り幅がほとんど取れないんです。
しかし100万円の資金で3ロッドであればレバレッジは3.8倍程度。これなら損切りを十分に取ることが出来ます。結局、レバレッジが高くなると損切り幅が狭くなり、レバレッジを抑えると損切り幅が広く取れます。
まずは損切りは資金の3%以内。これを大前提にポジションサイジングを考えていきましょう。そこから計算すると、レバレッジはさほど高くはならないはずです。一般的に安全レバレッジとされているのは5倍程度~高くても10倍です。これを超えると命綱をしないでバンジージャンプをするに等しいと思ってください。
目指すべきは高勝率ではない!
トレードが上手くいっているかどうかを検証するには、2つの数式を使います。それが「勝率」と「ペイオフレシオ」です。これはFXだけではなく、CFD、商品先物でも同じように使える考え方です。
勝率とは総トレード回数の内、利益になったトレードの割合です。プロ野球の勝率と同じです。例えば、10回売買して、6勝4敗であれば、勝率は60%です。
勝率=利益トレード回数÷総トレード回数
一方、ペイオフレシオは利益トレードの平均を損失トレードの平均で割ったものです。
ペイオフレシオ=平均利益÷平均損失
損失トレードはマイナスになりますが、絶対値で計算します。例えば、10回売買して、4勝し利益額の合計が80万円であれば、利益トレードの平均は20万円になります。
(80万円÷4勝)
一方、6敗で損失額の合計が60万円であれば、損失トレードの平均は10万円
(60万円÷6敗)になります。
この場合、ペイオフレシオは2(20万円÷10万円)になります。
このペイオフレシオで3を目指すことが僕のトレードルールではもっとも重要なこととしています。(※損切りと同等に重要です)
その理由は下記の表にあります。

これは勝率とペイオフレシオから導き出された、『バルサラの破産確率表』です。例えば分かりやすく言うと、勝ちトレードの平均が1万円で負けトレードの平均も1万円だとする。ペイオフレシオは1万円÷1万円=1となります。
すると勝率が50%あってもバルサラの破産確率表に当てはめると99%の確率で資金はなくなるということ。
では巷でよく聞く、高勝率の場合はどうか?現実的に100%の勝率はまずあり得ませんが60%程なら出せなくはない勝率です。
ですが勝率が6割あったとしても、ペイオフレシオが1を切っていると破産確率は意外と高いのです。
ニセモノのプロトレーダーがよく売り文句で使う言葉がこれ
『私は勝率が7割以上あります』
まあ、そういうのだから本当にあるのでしょう。しかし、それほどの勝率を誇る理由はただ一つ。彼らは損切りを入れてません。どんなにマイナスが大きくなっても、やがて相場が戻ってくるだろうと考えています。
確かにそうなることは多々あります。だから損切りに掛る回数が減って勝率も高くなる。しかし、こういう手法は一回の損失額が異常なほど大きいのです。一回の負けで致命傷を負っているのです。
相場というのはまず不確実な世界というのが大前提。
不確実な世界で勝率をあげることは難しいです。これからトレードの世界に来る方は『不可能』だと割り切っていた方がいいでしょう。
プロの方がトレードしても良くて5割、通常は4割程度。あなたには、まず3割程度目指して頂きたいと思います。トレードの世界での勝率とはこんなものなのです。勝率をあげることは実質不可能…
しかし、ペイオフレシオは意外と簡単に上げることが出来ます。僕の教え子にはペイオフレシオが10とか20ある人も多数います。こうなると勝率は2割程度で十分なんです。
まず目指すペイオフレシオは3以上。これぐらいあれば、勝率はさほど高くなくてもいいのです。
現実的に一番理想なのは、勝率4割、ペイオフレシオ3です。これで破産確率は2.5%、ほぼ破産はありません。そして経験を積みペイオフレシオ5になると勝率は同じ4割でも破産確率は0.8%で、もう大丈夫でしょう。
これは逆に言えば、勝率4割、ペイオフレシオ3を出せるまでは本番へ行くと破産する確率があるということでもあります。このあたりをボーダーラインとしてデモトレードから本番へ移る目安として頂ければと思います。
「やらない」という選択肢
ここでペイオフレシオ3が条件だとすると次の相場ではどういった戦略を練るでしょうか??

これはドル円の週足です。現在値が125円でミドルラインにタッチしていたとしましょう。前回安値が123円。前回高値が126円、標準偏差3σまで200pips
ここで組み立てるにはまずは損切りです。週足なのでミドルラインからちょっと下でも100pipsほどあります。出来れば前回安値の123円まで取りたいところ。それはちょっとリスクがあるのでここでは100pipsの損切りを取る。
次に狙える利益はどこか?前回高値が126円なのでエントリーしたところから100pipsしかない。うまく上昇して3σまで行っても200pips
するとペイオフレシオは…
利益200pips÷損失100pips=ペイオフレシオ2
この相場をどう攻めるか?
あなたならどうしますか??
1・損切り幅を狭めてペイオフレシオ3にする。
2・狙う利益をあげるてペイオフレシオ3にする。
多くの人が週足でミドルラインにタッチしたというこのチャンスを逃したくなくエントリーをすると思います。しかしペイオフレシオは普通に考えると2にしかならない。ここでは上記の選択をせず「やらない」という選択を取るのがベストです。
相場は必ずしも「参加しなければいけない」というものではありません。ペイオフレシオを考えた時、「やらない」という選択肢を持っておくようにしましょう。ペイオフレシオを重要視した時、もっとも考えるべきポイントは…
1・いかに標準偏差までが大きいか?
2・いかに損切り幅が狭いか?
この二点です。
ではまた。