「手を打てば魚集まり鳥逃げる…」
これは僕がトレードの師匠から教わった言葉でトレードをするときは、いつも心掛けています。どういう意味かというと、池のほとりでパンパンと手を叩くと魚たちはエサがもらえると思って寄ってくる。しかし、一方で鳥たちは危険だと察知して一斉に飛び立っていく。
同じ一つの音なのに、魚と鳥は、それぞれ異なる行動を取る。つまり、この言葉は、同じ現象が起きていてもみんな、それぞれ理解が異なるということを教えてくれているのです。
本人にしてみると、
「そうに違いない!」
「絶対に間違いない!」
と信じ込んでいることが少なくありません。そういった思い込みや先入観、固定概念を取り除かない限り、正しい判断はできません。これが顕著に表れるのがトレードです。
例えば負けが続いている時、残念ながら、あなたの相場観は間違えています。他の参加者とは違っているということです。同じ通貨ペア、同じ時間足を見ていて、あなたは上がると思っていても他の参加者たちは下がると思っている。
「やべっ…」
と慌てて損切りをして、今度は売ってみると相場は急反転。こうして往復ビンタを食らう羽目に…こんな経験ありませんか?(笑)
これらはすべて、「手を打てば魚集まり鳥逃げる…」ということ。あなたとは逆の行動を取る人がいる。そして、相場で言えばそっちが正しいということです。常にこの言葉を心掛けてください。では今日はトレードのはなしになります。
未来を予想することは誰にもできない。
例えば一年前、ビットコインがここまで上がることを予測できた人がいたでしょうか…エコノミストがテキトウに言って当たったということはあるかも知れませんが、基本は誰も予想できなかった。
じゃあ、例えば20年前に、誰もが「歩きスマホ」をしている未来像を予測できた人はいたでしょうか。誰も予想いませんでした。
新聞の死亡欄を予測できる人はいるでしょうか?東京オリンピックの金メダルの数を予測できる人はいるでしょうか?誰にも出来ません。
そう、未来は誰にも予想はできないんです。
けど、投資やトレードになると、多くの人が「未来を予想」したがるのです。出来もしない予想を知りたがるのです。
それは占い師に人生を委ねるように…水晶玉で生計を立てるように…そんなふうに見えるわけです。トレードに関しても、様々なサイトでエコノミストたちがテキトウなことを言ってます。
「ドル円は今年中に115円を突破する」
「2021年は日経平均が大暴落する!」
僕に言わせれば彼らはトレーダーでも投資家でもなく「占い師」です。よく聞いてください。
未来を予測することは誰にも出来ません。僕にもあなたにも総理大臣にも。特に値動きの予想は不可能です。
多くの人は今まで、これを行っていたのです。出来もしないことを一生懸命やっていた。必死に明日のドル円の値動きを探していた。これをトレードだと勘違いして。トレードとはそういうことじゃないんです。
トレードとは投機。
投機はラテン語の“specular”を語源とする。
これを訳すると「観察する」という意味になります。つまりトレーダーとは、価格が将来どうなるかを観察することにあります。未来の価格を予想することではないのです。
予想・予測は誰にも出来ないとまずは知ることです。けど、落胆する必要はありません。予想も予測もしなくても、勝つことが出来るのがトレードです。
撤退を命じられるトレーダー、たった二つの特徴。
予測や予言などは、誰にも出来ないという話をしました。まずはそれを知ることです。出来ないことをしていても時間の無駄ですからね。
そして何より、出来もしないことを、さも出来ると見せかけてお金を搾取するサービスなどが日本では蔓延しています。だから、まずはあなただけでも市場において価格を予測することは不可能だと知ってください。
では、価格を予想しないで、どうやってトレードで勝つというのか?確かに値動きも価格も予想はできません。
しかし、学習によって損失の制御は出来るようになります。これは予想・予測などの占いと違って、数学に裏付けされた確かなものです。
これこそがトレードで成功するための唯一の手段なのです。ギャンブラーの仕事は、ツキが自分に巡ってくるように祈ること。でも、トレーダーの仕事と言えば、負けることを前提に、負けた時の損失を制御することにあります。
おそらく多くの人がここを勘違いしていたと思います。多くの人がやっていたトレーダーとしての仕事はギャンブラーの仕事でした。僕は以下の言葉を、毎晩毎朝、呪文のように唱えています。
「現在抱えているポジションは必ず負けトレードになる。それも大きな負けに…」
なんというネガティブな発想でしょう笑…そう思う人もいるかも知れません。しかし、トレードにおいて、ポジティブが必ずしも良いとは限りません。ポジティブは必ず勝てるという、根拠のない思い込みにつながり、その結果、過大なポジションサイズになることもあるからです。
また、長くポジションを持ち過ぎるという事態に陥ることにもなります。僕が見ている限り、市場から撤退したり追証を受けるトレーダーの思考は必ずポジティブでした。
つまり!
トレードにおいて撤退を命じられるのは…
1・ポジションサイズが大き過ぎた
2・負けポジションを長く持ち過ぎた
このいずれかです。逆に成功するトレーダーはこれを絶対にやりません。
トレードで勝つための単純な計算。
コイントスで表が出る確率はご存知の通り50%です。コインは記憶を持たないので、確率は常に一定で50%となります。例えば2回連続で表が出たあとのコイントスでも50%の確率となり、3回連続で表が出たあともまた50%となります。
これは市場にも当てはまり、今日、相場が上がるか下がるかの確率は常に50%です。今日、陽線で終わっても明日の確率は50%で明後日も50%です。常に一定です。
まずそう仮説を立てて検証してみます。自分の相場観が当たる確率は50%。次に値動きの期待値はプラスもマイナスも100とします。すると当然、勝った時は100を得られます。では、負けた時はどうでしょうか?負けた時も100なら、これはギャンブラーになってしまう。
負けた時を仮に20で抑えてみるとどうでしょう?これは損切りの設定でいくらでも出来ます。
勝つ確率は50%、負ける確率も50%、
期待値は勝つときが100、負けるときが20となると。
もう答えは出ました。
仮に10回のトレードを行い、確率通り5勝5敗としましょう。
利益が5勝×100万円で500万円
損失は5敗×20万円で100万円
トータルすると差益は400万円となります。
もちろん手仕舞いが早まれば、それだけ勝率も下がりますが、目指すべきところは限りなく上の計算に近づけることです。
酔っ払いも必ず家に向かって歩いている。
前章で僕はひとつだけ嘘をつきました。この嘘に気が付いた人は、かなり相場を分析している人と言えます。あなたは気付きましたか?この部分。
今日、相場が上がるか下がるかの確率は常に50%である
もし、これが本当なら、先ほど書いた内容だけでトレードは誰でも勝てることになります。ところが、そうはいきません。
相場というのは、まるで新橋あたりで酔っぱらったサラリーマンのように自分がどこへ行こうとしているかも分からずクネクネ動き回ります。
しかし、よくよく見ると、この動きにはある一つの規則性があることが判明しました。新橋のサラリーマンもランダムに動き回っているように見えますが、その動きには「家に帰る」という規則をもって動いています。ゴールはいつも家です。
同じように相場も、狂気的に動き回っているように見えて実は、必ずどこか目的地をもって動いていたのです。市場は必ず・・・
「高値から安値へ、安値から高値へ」
と動く。これを永遠に繰り返しているだけでした。つまりは、高値と安値が分かれば相場においては天下無敵となります。そこで高値と安値を次のように定義することができます。
●高値
ある日の高値が、その前日と翌日の
高値よりも高ければその日が高値となる。
●安値
ある日の安値が、その前日と翌日の
安値よりも安ければその日が安値となる。
とっても簡単に見極められるかと思います。しかし厄介なのは、この規則性が精密さに欠けるということです。
そこで検証をしてみました。2019年から2020年2月までのドル円、ユーロ円、ポンド円の日足。上記定義に当てはまった日が64ヶ所ありました。そのうち、規則通り動いた日が
43回で67%になりました。
当然100%はあり得ないと思っていましたが、これは驚くべき結果でした。なぜなら、これでもう相場の7割は攻略したようなものだから。
あとは・・・
資金管理です。